ミュージカル『ピピン』1度きりの集い
これが、10代最後の観劇になるはずでした。
まさかの公演中止とは。
クリスタルケイさんの歌を観たかった。
ウィン君の歌、成長を感じたかった。ピピンの世界観を感じたかった。
ミュージカルは、一度きりの集いです。一期一会に近いものがあります。
同じ演目をしていても、その瞬間は、二度とやって来ない。
そんな感覚が観ていても感じるのです。
同じ時間が、来ないことが、生の空間にどれだけ神聖なことなのか。
中止は、心配を感じさせますが、演劇の在り方も改めて考えさせられる
瞬間として、捉えていきたいと思います。
やっぱり、観たかった。映像でも、感じられないのだから。
演劇やミュージカルには、それしかない良さがあります。
自分は、鑑賞者にしかなれないけれど、演劇の素晴らしさ、厳しさのようなものを
どこかでは残していきたい、残さねばという使命があります。
この産業を守る、むしろ攻めて構築していきたいのです。
真実として、目を背けてしまうものに本質はあると信じています。
作り手には誰でもなれるし、物作りの手は誰しものの中にあると信じています。
舞台を支える方に、祝祭と激励を。舞台の上に立つものへ、光と影を。
輪郭としてですが、いつかこんなことを考えています。
関わる者全てに、表も裏も伝えていきたい表現をしたいと思います。
岡本太郎さん
岡本太郎さんに、出会ったのは高校二年生だった。
鮮明に覚えているのは、痛烈な出会いだったからだ。
『明日の神話』
この絵との出会いは、衝撃的だった。
たまたま、絵を見たいなと感じていた中で、
一冊の本に出会った。それが、岡本太郎さんの本だった。
当時、高校生の自分を振り返る。
一人、常に一人だった。一人で考え行動し答えを出していた。
周りの関係の入り方が分からなかった。
寂しい、そんなことはなかった。
世の中を見ると面白いものに溢れていたからだ。
ゲームで繋がる友情もあり。けれど、目線を上げると興味深いものばかり
初めて出会うものばかりあるのが、世の中の良いところだ。
映画、読書……まだまだ、知らない世界がある。
高二からは、むしろ世界を感じることも大事だと考え始めたな。
その岡本太郎の世界を感じた言葉が、ある。
『自分のスジを貫き通せ』
人は、必ず言葉を残すことができ、その言葉は人の生き方を変えることが
できる。僕には、それがこの言葉だった。
世界がある。そして自分の世界がある。さらに人の世界がある。
さまざまな世界が存在するこの『世界』に残せるものは何か。
自分に何ができるのか。これから何をしていけば良いか。
そんなことを考えながら、絵を観る。